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カメラのフラッシュが頬に反射してまたたく。
Pが記者席から見ていた。
Wは馬を彼に引き渡した。
ジョッキールームに戻ったWは、H厩舎の勝負服を脱いで壁にかけた。
ベイメドウズパンデ戦の数分後、大陸横断特急がタンフォラン競馬場への引き込み線にガタガタ音を立てて止まった。
東への長旅が始まるのだ。
シービスケット陣営はまず、A・Vとの約束を果たすために、メリーランドに立ち寄ってピムリコ競馬場のディキシーパンデ戦に出走し、それからニューヨークでウォーアドミラルと相まみえる予定だった。
腰務員たちは列車を忙しく乗り降りしては、車両のひとつを稲の敷きわら、オート麦、チモシーで屋根までいっぱいにした。
群衆がシービスケットの見送りにやってきた。
取り巻き連中を満杯に乗せたビュイックのリムジンで到着したHは、大ぶりのケーキを手に車を降り、それを厩務員たちに差し入れした。
彼らはあっという間にケーキを食べつくした。
それからHは、愛馬に別れを告げた。
東部には、あとから行くことになっていたのだ。
ファンは山のように花をもちより、ひとりの女性が前に踏み出して、いつものようにカメラマンの前でおとなしくポーズをとるシービスケットのたてがみにリボンを結わえつけた。
セレモニーが終了すると、シービスケットは軽やかなひづめの音とともに、胸までわらで埋まった自分の車両に乗りこんだ。
パンプキンがつづいた。
Sも2頭と同じ車両に乗りこみ、シービスケットの隣に自分の簡易ベッドをセットした。
列車が重々しい音を立てて動きだす。
大陸の反対側では、ウォーアドミラルがベルモントの自分の馬房で、彼らを待ち受けていた。
列車がガクンと揺れて速度を上げると、シービスケットが急に落ち着かなくなった。
馬はイラだたしげに車両のなかをぐるぐる回りはじめた。
シービスケットの動きが止まった。
Sの声を聞きながら、馬は敷きわらに身体を沈め、眠りに落ちていった。
Sはスツールを引き寄せて、馬のそばに腰をおろした。
調教師の気持ちは暗かった。
ベイメドウズパンデ戦以来、シービスケットは本調子ではないという気がしてならなかったのだ。
馬はやすやすとしースに勝利した。
最後の400は24秒フラットという猛烈なスピードで駆け抜け、コースレコードを1.4秒更新したものの、前半は足取りが重く、Wに急き立てられて、ようやく先行集団に追いつくありさまだった。
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